説得は、かけた時間と労力に比例して成功率が高まるわけではない。機関銃のように言葉を乱れ撃っても、誠意を持って熱心に働きかけても、人は動かない。だが、相手の事情を把握し、相手が求めるものをピタリと言い当てれば、一瞬にして人はその気になり、考えを改める。絞りに絞った一言を発するためのノウハウを紹介。
説得は相手が心を決める瞬間への働きかけ——まえがきにかえて
ダラダラした説得は時間の浪費
人は説得されたがっている
人を一瞬でその気にさせる説得のツールとは
1 時間をかけて諭すから、聞き手は引いてしまう
*意識して「黙る」「待つ」と効果がある
2 過剰な熱意は相手に疑いを起こさせる
*押せば押すほど聞き手は疑う
3 「あなたのため」といい人ぶるな!
*好意の押しつけはウソっぽい
4 「説得点」を知る前に安易な譲歩をするな!
*はじめから交換条件に頼ってはダメ
5 説明の順序、話の組み立て方を間違えるな!
*相手の欲しているテーマに照準を合わせる
6 説得に夢中になって相手の存在を忘れるな!
*話し手が自分の話に酔ってどうする!?
7 信頼を欠いては前提条件まで失う
*言行不一致は許されない
8 仕事で成果を出すには「説得」が欠かせない
*仕事の依頼は「説明」ではなく「説得」を
1 相手からの質問にはビシッと10秒で答える
*間髪を入れない「即答力!」を磨く
2 相手の「知りたがり」に働きかける
*「知りたい? 教えてあげないよ」の効果
3 ちょっとした一言をプラスの言葉に言い換える
*肯定的な言葉に換えるだけで相手は納得する
4 意外性のあるメッセージを心がける
*「そう言われてみれば」と相手に気づかせる
5 「権威づけ」をうまく利用する
*コマーシャルで使われる特許出願中の威力
1 場の空気を読んで、流れにそっと水を差す
*日本では“空気”次第で結果が変わる
2 「共通の知人」に口利きしてもらう
*影響力のある第三者からの働きかけ
3 説得・交渉事の前に“自分自身”を売り込む
*最も断りにくいのは友を相手にしたとき
4 「軽く一杯」の誘いなら無下に断りにくい
*心の負担をやわらげる話法がある
5アプローチで断りにくいタイミングを演出する
*抵抗感の少ない声のかけ方を知る
1 理屈っぽい相手への対処のしかた
*「そもそも」と相手の主張の根拠を問う
2 頑固な相手への対処のしかた−1
*見え見えのアプローチは避ける
3 頑固な相手への対処のしかた−2
*対話ができるアプローチを考える
4 疑り深い相手への対処のしかた
*質問を打ち切って「交換条件」を出す
5 強気な相手への対処のしかた−1
*相手によっては決裂もやむなし
6 強気な相手への対処のしかた−2
*引いてダメなら強硬手段も
7 儲けを気にする相手への対処のしかた
*損得感覚の弱点に訴える
8 興味を示さない相手への対処のしかた
*相手の「説得点」をまず見抜く
1 相手の「背後の恐怖」に働きかける
*時と場合によっては非情の言葉も発する
2 枠からはみ出したくない日本人気質に訴える
*相手に染みついた規律心や道徳心を利用する
3 世知辛い現実から離れて、熱い情熱に訴える
*「理想・希望・憧れ」を原動力に
4 AかBかの「選択」を、相手に決めさせる
*人は自分で決めたことには逆らえない
5 短時間で「説得点」を見極める
*相手のこだわりと価値観をつかむ
6 押すだけではなく時には引いてみる
*押すと「NO」を出す人には変化球を使う
7 人間誰しもがもつ見栄や虚勢を刺激する
*意外にも 対抗意識で人は動く
1 必要なら自分も泥をかぶる覚悟を示す
*カルロス・ゴーンの説得力
2 日頃のサービスで、いつか役立つ人と思わせる
*相手にとっての自分の価値は?
3 小さな「貸し」と、あえて作る「借り」の効果
*いまだ効力のある「持ちつ持たれつ」の関係
4 腰をかがめ、身を低くして周囲の人望を集める
*気に入らないと思われただけでソン!
5 時にはあえて損な営業をする
*他社商品をすすめる型破りな営業マン
1 断られたときこそチャンス到来!
*理由を探ればはゴールへと続く
2 自分の側の問題点を割り出す
*相手が心を閉ざしてしまうホントの理由
3 その断りであきらめるのはまだ早い
*NOには様々な種類がある
4 人事を尽くしたあとにモノを言うのは「気迫力」
*すべて試したと言えるのか、と最後に問う!
5 「食わず嫌い」には強引にやらせてみる
*ともに行動し経験させてしまう
6 流れを変える「関係の再インストール」
*会話テクニックで悪い流れをリセットする
7 交渉が行き詰まってしまったら
*積極的譲歩による駆け引きの効果
1 動じない明るさが「無言」の説得力に
*「逆境での笑い」がもたらす効果
2 遠回しに相手の人格を攻撃する暗示話法
*直接攻撃できないときに使えるワザ
3 プレッシャーをかける圧迫話法
*優柔不断の相手を追い込み、本気にさせる
4 覚悟や意欲を込めて「正しいウソ」をつく
*ハッタリも「時には有効」と知っておく
5 誰もが持っている「怠け者の自分」を認める
*「怠け」の正当化で“まじめ”な人を口説く
6 期待感をくすぐる話法で夢を見せる
*相手の想像力に働きかける
1 お世話になった人の“情”がからんだ頼みを断る
*借りがある相手からの頼みを断る
2 まわりからハレもの扱いの年上の部下を動かす
*劣等感を持った相手を本気にさせる
3 能力はあるのにやる気を出さない部下を動かす
*頭で考えるヤツは心で考えさせる
4 強いコネクションをちらつかせる相手をさばく
*組織人の弱みをつく相手を逆にヘコます
5 「上司を出せ!」とクレームを突きつけられたら
*クレーム対応の極意
内田 賢司(うちだ けんじ)
1972年生まれ、東京都出身。話し方研究所主任教授。
20代で金融の世界へ飛び込み、社会の裏側を垣間見て、人間の心と表現、行動に興味を持ち、コミュニケーション教育の業界へ進む。専門領域は、対人関係(説明、説得、プレゼンテーション)全般。
著書に『わかりやすい!と言われる説明の技術』(あさ出版)、『話し方講義のの実況中継』(イーストプレス)、『会話力』(ソフトバンクパブリッシング)、『好かれて尊敬されるあの人の話し方』(明日香出版)(共著含む)などがある。
福田 健(ふくだ たけし)
1961年中央大学法学部卒業。大和運輸(ヤマト運輸)を経て、67年言語科学研究所入所。指導部長、理事長を歴任。83年(株)話し方研究所設立、所長に就任。2004年会長。
主な著書に『人は「話し方」で9割変わる』(経済界)、『「場の空気」が読める人、読めない人』(PHP研究所)、『人を動かす説得コミュニケ−ションの原則』(ダイヤモンド社)などがある。
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