多くの人が電車に乗りながら日常的に目にし、利用するトンネル。しかし、そのトンネルがどのように作られたか知る人は少ない。伝説の難工事「青函トンネル」をはじめ、数多くのトンネル工事に携わってきた大成建設が、身近にありながら知られることのなかったトンネル工事の工法をはじめ、トンネルの構造から驚きのハイテクマシンの紹介、整備安全面の話から意外な活用法までわかりやすく解説する。写真や図版を随所に掲載、読んで"なっとく!"見て"なるほど"する本。
──いまも伝説のトンネル工事
▼トンネル工法は大きく4つに分かれる
──山岳工法、シールド工法、開削工法、沈埋工法の4つ・・・・・ 12
伝説の難工事 1
◦最新トンネル工法のすべてが集結した「世紀のプロジェクト」
…………ボスポラス海峡横断鉄道トンネル ・・・・・15
伝説の難工事 2
◦長さ10㎞超、地上から1000mの深さを前例のない巨大マシンで高速施工
…………飛騨トンネル ・・・・・22
伝説の難工事 3
◦調査・掘削・安全…あらゆるトンネル技術を進歩させた世界最長の海底トンネル
…………青函トンネル ・・・・・27
【コラム】 日本のトンネル工事技術は世界一 ・・・・・32
伝説の難工事 4
◦地山の良さもあり1万m超のトンネルを前例のないスピードで施工、完成
…………関越トンネル ・・・・・35
伝説の難工事 5
◦革新的技術が惜しみなく投入された「土木のアポロ計画」
…………東京湾アクアトンネル・・・・・40
──トンネルの基礎を学ぶ
Q1・意外!? 人類初のトンネルも日本初のトンネルも掘られた目的は同じ ・・・・・48
Q2・どこにトンネルを掘るか、誰がどうやって決める? ・・・・・52
【コラム】 人や乗り物が通るのがトンネル。では、巨大な下水管はトンネルではない? ・・・・・54
Q3・なぜ馬蹄形をしたトンネルが多いのか? ・・・・・56
Q4・どんなトンネルにするか誰が設計するのか? ・・・・・59
【コラム】 掘ったトンネルが崩れないよう支えるものは何? ・・・・・62
Q5・計画が持ち上がってから完成するまでどれくらいかかる? ・・・・・64
Q6・そもそもトンネルにはどんな作り方があるの? ・・・・・66
Q7・2大工法の山岳工法とシールド工法をどうやって使い分ける? ・・・・・69
Q8・トンネル工事はどのような手順で進められる?そのとき使われる機械は?どんな問題点がある? ・・・・・72
Q9・トンネルを作る際に留意する4つの点とは? ・・・・・77
【コラム】 トンネル工事は増えている? それとも減っている? ・・・・・80
──トンネルといえば誰もがイメージする山の中はこの工法で
▼同じトンネルでも鉄道用と道路用ではこんなに違う ・・・・・84
──山の上に道路トンネル、下に鉄道トンネルの理由
1・地山との一体化を図る山岳工法とはどんな工法? ・・・・・86
2・トンネルの掘削は地質調査から。見えない地下を探る技術 ・・・・・91
3・そもそもトンネルはどうやって掘っていく? ・・・・・95
4・ダイナマイトはもう古い⁉ 安全第一の発破掘削 ・・・・・100
【コラム】 トンネルの断面はどこまで大きくできるのか? ・・・・・103
5・最近、注目のTBM。NATMとの使い分けのポイントは?・・・・・ 106
6・トンネルが崩れないよう断面の掘り方にもひと工夫 ・・・・・109
7・ときに人命を危険にさらす特殊地山の正体とは?・・・・・ 112
8・掘り出した土砂を効率よく運び出す方法とは?・・・・・ 115
9・トンネルのリフォーム・メンテナンスの仕方は?・・・・・ 119
──モグラのようなマシンが縦横無尽に掘り進む
▼シールドには工事の数だけ「顔」がある ・・・・・124
──カッターヘッドを見れば地層がわかる
1・世にもユニークなシールド工法誕生秘話 ・・・・・126
2・掘り始めたら前にしか進めないシールドマシンの基本的な仕組みとは?・・・・・ 131
3・なぜ都市部でシールドマシンが使われるのか? ・・・・・135
【コラム】 関心を呼ぶ大深度地下利用・・・・・ 138
4・より安全に、より効率的に ナ新シールド工法の主流は? ・・・・・140
5・前面で掘りながらどうやって壁面を築くのか?・・・・・ 144
6・もはや「円形」だけではない⁉ シールドの最新の掘り方とは?・・・・・ 147
──工場で作ったトンネルを船で運ぶ?
▼シンプルな工法と特殊な工法の類似点 ・・・・・152
──開削工法と沈埋工法の比較
1・シンプルで工費も安価な開削工法のメリットとデメリット・・・・・ 154
2・開削工法はどんな工程で進められるのか? ・・・・・157
3・土留め、覆工、支保工…。開削工法ならではの工事の特徴とは? ・・・・・160
4・世界でも施工例が少ない沈埋工法とは? ・・・・・163
5・シールドトンネルと比較した沈埋トンネルの特徴とは? ・・・・・167
6・1函の長さが100mもある沈埋函の構造はどうなっている? ・・・・・170
7・6〜7万トンもある沈埋函をどうやって船で運ぶのか?・・・・・ 173
8・沈埋函どうしをどうやってつなげていくのか?・・・・・ 176
これからのトンネルプロジェクトと技術開発──あとがきに代えて・・・・・ 180
用語解説・・・・・ 183
参考文献・資料 ・・・・・190
大成建設「トンネル」研究プロジェクトチーム
大成建設株式会社(本社 東京都新宿区)は、我が国大手5社の一角を占める総合建設会社。創業は1873年(明治6年)、大倉喜八郎が大倉組商会を設立したことを起源としている。鹿鳴館、帝国ホテルなど建築物を手掛ける一方で、これまでに600本を超えるトンネルを施工してきた。とくに青函トンネル、飛騨トンネル、東京湾アクアトンネル、そしてボスポラス海峡トンネルなど歴史的なプロジェクトにその名を刻んでいる。 「トンネル」研究プロジェクトチームは、本書制作を目的とし、土木本部 土木技術部のトンネル技術室、都市土木技術室、インフラ海洋技術室、技術・品質推進室の面々を中心に、コーポレート・コミュニケーション部を含めた幅広い部門のスタッフから結成された。前作の『超高層ビルのなぜを科学する』には企画立案から製作まで約2年を費やしたが、本作は3年もの歳月をかけたものである。
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